ネズミとヒト、見た目はまったく異なります。
では、「脳」にも違いは見られるのでしょうか?
米国ではヒトの脳細胞をネズミへ移植するという実験が行われています。
今回は、ネズミとヒトの脳にまつわる話をしていきたいと思います。
ネズミの脳とヒトの脳に見られる違いは?
小脳や脳幹はあまり変わりませんが、ヒトは圧倒的に大脳が大きいです。
これは、進化の過程で神経細胞を増やしていったことによるものが関係しています。
ヒトの脳はしわしわを折り畳むことで、細胞の数を圧倒的に増やすことができたのです。
一方、ネズミの脳はのっぺりとしていて平面的、つまり細胞の数が少ないことを意味します。
ただし、基本回路はネズミとヒトとは一緒で、基本的な反応も一緒です。
最終的にはネズミもヒトも脳の構造について大きな違いはないと言えます。
ネズミの脳へヒトの脳を移植!結果は?
米国チェスター大学メディカル・センターのSteven A. Goldman博士のチームが次の研究を行いました。
人間の脳細胞をマウスに移植して定着させ、「半人間脳」状態のマウスを作り出すことに成功しました。
臓器提供を受けた胎児の未成熟のグリア細胞を子どものマウスの脳細胞に移植し、成長を観察しました。
すると1年後、移植された人間のグリア細胞は元来持っていた細胞に取って代わる形で増殖しました。
当初は30万個だった細胞の数は、1200万個、実に40倍にもなりました。
Goldman博士は、その様子を次のように語っています。
「人間の細胞がマウスの細胞を追い出す形で、マウスの細胞は隙間の部分へと追いやられたようです」
実験に使ったグリア細胞は、ヒトの脳では、人間の思考に大きな役割を果たしていると考えられています。
ヒトのグリア細胞はマウスのそれよりも10~20倍くらいの大きさがあり、信号を伝達する突起状物質を100倍も多く備えているそうです。
この実験ではヒトのグリア細胞が、マウスの知性にどんな影響を与えるのかに関心が集まりました。
危険予知を学習させる実験を行ったところ、移植されたマウスは通常よりも高い記憶力を見せました。
Goldman博士は「明らかに通常のマウスよりも賢いマウスであると言える」と述べています。
まとめ
ネズミとヒトの脳にあまり大差がないことに、ビックリしました。
さらに驚いたことに、ネズミの脳でヒトの脳細胞が機能することが信じられません。